小林少年はその時、警官隊のずっとうしろのほうから、煙突の上を見あげていたのですが、怪物が落ちたので、いそいでそのほうへかけだそうとしました。
そして、一歩ふみだした時、とつぜん頭の上から黒雲がかぶさって来たような気がして、目の前がすこしも見えなくなってしまい、からだがスーッと宙にういたかと思うと、こんどは深い深い穴の中へすべりおちて行くような気がして、それっきり何もわからなくなってしまいました。
人々は怪物のほうにむちゅうになっていたのと、何をいうにも暗やみのことですから、小林君の身のうえにおこった変事には、だれも気づいたものはありません。