そのとき、かれと、いれちがいに、ひとりの小さな人間が、スーッと部屋から出て、入り口の板戸をしめ、そとから、錠をおろしてしまったのを、すこしも知りません(その錠は、かぎがなくてもしまる南京錠でした)。
四十面相は、むこうにたおれている小林君のすがたに気をとられ、わきめもふらずに、まっしぐらに、そのほうへ、すすんでいったからです。
部屋の中へはいってみると、思ったほどの煙もなく、どこにも火はもえていませんでしたが、四十面相は、そこまで考えるひまもなく、いきなり小林君のところへ、ちかづいて、たすけおこそうとしました。