一キロもへだたった場所で、ただひとり仕事のあとかたづけをしていた、きこりの松下岩男という男が、天地もくつがえるような大音響におどろいて、こわごわそこへ近づいてみますと、銀色の巨大なおさらを、二つあわせたようなかたちの、えたいのしれぬ、ばけものが、森の大木をおしたおして、そこに横たわっていたのです。
きこりは、夢にも見たこともない、ふしぎな、巨大なもののおそろしさに、気もてんとうして、そのまま逃げかえろうとしましたが、やっと、おもいかえして、遠くの方から、大木のかげに身をかくし、しばらく、ようすを見ていたといいます。
夕刊には、きこり松下君の写真が、大きく出ていましたが、四十歳ぐらいの、顔じゅうに、ぶしょうひげをはやした、目も鼻も口も大きい、いかにも豪胆そうな男でした。