ひと月ほどまえのあらしの晩に、「あしびき丸」は航路をまちがえて、海の中の大きな岩にぶつかり、船の底がやぶれて、そこへしずんだのです。
この沈没船の引きあげをたのまれたサルベージ会社の作業船は、「あしびき丸」のしずんでいる海面に行って、どんなふうにして引きあげたらよいかをしらべるために、まず、ふたりの潜水夫を海の底へおろしました。
あついゴム製の服をきて、まるい鉄のかぶとをかぶり、おもい鉛のついたくつをはいて、ふたりの潜水夫は、作業船の外がわについた鉄ばしごを、つたいおり、ブクブクとあわをたてて、青い海の中へ、はいっていきました。