その夕方も、一郎君は、学校から帰ると、いそぎの宿題をすませてから、うちをかけだして、岩山の上にのぼり、そのてっぺんに腰をおろして、なつかしい巨大なおかあさんのような海に、じっと見いっていました。
しばらくすると、大空にたなびいている長い雲が、黄色くなり、やがて、だんだん赤くなって、まるで色ガラスのようなまっかな色になり、それがひろい海にまでそまって、見わたすかぎりの水が、えのぐをとかしたように、美しくかがやくのでした。
ふりむくとたらいのように大きなまっかな太陽が、いま、うしろの山にかくれようとしているのです。