それで箱をとりだすと、いそいでうちにかけこみ、それをおとうさんに見せて、このあいだの夜、神社の森の中で格闘があったとき、顔じゅうにヒゲのはえた、きたないおじさんに、この箱をあずけられたこと、そのおじさんは、もしおれが死んだら、鉄の箱を、川の中へすててくれといったけれども、おじさんが警察病院で死んでからも、すてる気になれないので、庭の石の下へうずめておいたことを、くわしく話しました。
おとうさんは、鉄の箱を手にとってひらこうとしましたが、どうしてもあけることができません。
書生の戸田君もやってみましたが、やっぱりだめです。