「その、もと船長の遺言書は、むずかしい文章なので、くだいて話すとね、今から二十年ばかりまえに、紀伊半島の潮ノ岬の沖で、大洋丸という汽船が、暴風のために沈没した。
そのときは、何十年に一度というひどいあらしで、大洋丸が無電で助けをもとめても、海岸から助けの船を出すこともできなかったほどで、多くの船客や乗組員が死んでしまった。
流れたボートにすがって、やっと海岸にたどりついたのは、十数人の乗組員だけで、その中に、船長の福永という人もはいっていた。
「その、もと船長の遺言書は、むずかしい文章なので、くだいて話すとね、今から二十年ばかりまえに、紀伊半島の潮ノ岬の沖で、大洋丸という汽船が、暴風のために沈没した。
そのときは、何十年に一度というひどいあらしで、大洋丸が無電で助けをもとめても、海岸から助けの船を出すこともできなかったほどで、多くの船客や乗組員が死んでしまった。
流れたボートにすがって、やっと海岸にたどりついたのは、十数人の乗組員だけで、その中に、船長の福永という人もはいっていた。