それで、まだ字のかけるあいだに、この遺言書をかいて、鉄の秘密箱をつくらせて、保険会社の証書と、ほんとうに大洋丸の沈んでいる場所をしるした海図といっしょにふうじこんで、じぶんのひとりむすこにのこした。
そのむすこが、賢吉君に鉄の箱をあずけたというわけだ。
このむすこは、いくじのない男で、じぶんで引きあげて作業をはじめることもできず、いく人かのお金持ちに、引きあげの権利を売りつけようとしたが、そのころは、もうびんぼうになってしまって、きたないふうをしていたので、そんな男の『海底の大金塊』なんて、ゆめみたいな話は、だれも信用してくれなかったのだね。