「いや、わたしは、けっして、あやしいものじゃありません。
東京タクシーの運転手です。
きょうは徹夜の番で、麹町のへんを流していますと、ひとりの紳士が、ここの横丁にとまっていて、おれがあいずをしたら、うしろのドアをあけたままで、大通りの方へ車を出せといい、二千円くれましたので、つい金に目がくれて、その人のいうとおりにしたのです。
「いや、わたしは、けっして、あやしいものじゃありません。
東京タクシーの運転手です。
きょうは徹夜の番で、麹町のへんを流していますと、ひとりの紳士が、ここの横丁にとまっていて、おれがあいずをしたら、うしろのドアをあけたままで、大通りの方へ車を出せといい、二千円くれましたので、つい金に目がくれて、その人のいうとおりにしたのです。