美術室の窓は、いつもしめきって、かけがねがかけてあるのですが、女中さんがそうじをするときには、窓をあけますから、窓をあけておいて、女中さんが、ちょっと部屋を出たすきに、ボールがとびこんだのかもしれません。
アドニスというのは、大むかしのギリシア神話のなかに出てくる美しい青年で、そのはだかの像を有名な彫刻家がいくつもつくったのですが、いまのこっているのは、ごくわずかです。
ほんものは大理石にほったものですが、フランスの美術商が、それとそっくりの石膏像をこしらえて売りだしたのを、神山さんが買って帰ったもので、青年アドニスが、はだかで立っている、おとなよりも大きな美しい石膏像です。