おれは墨を磨って、筆をしめして、巻紙を睨めて、――巻紙を睨めて、筆をしめして、墨を磨って――同じ所作を同じように何返も繰り返したあと、おれには、とても手紙は書けるものではないと、諦めて硯の蓋をしてしまった。
手紙なんぞをかくのは面倒臭い。
やっぱり東京まで出掛けて行って、逢って話をするのが簡便だ。
おれは墨を磨って、筆をしめして、巻紙を睨めて、――巻紙を睨めて、筆をしめして、墨を磨って――同じ所作を同じように何返も繰り返したあと、おれには、とても手紙は書けるものではないと、諦めて硯の蓋をしてしまった。
手紙なんぞをかくのは面倒臭い。
やっぱり東京まで出掛けて行って、逢って話をするのが簡便だ。