なぜかと云うと元来この私と云う――こうしてフロックコートを着て高襟をつけて、髭を生やして厳然と存在しているかのごとくに見える、この私の正体がはなはだ怪しいものであります。
フロックも高襟も目に見える、手に触れると云うまでで自分でないにはきまっている。
この手、この足、痒いときには掻き、痛いときには撫でるこの身体が私かと云うと、そうも行かない。
なぜかと云うと元来この私と云う――こうしてフロックコートを着て高襟をつけて、髭を生やして厳然と存在しているかのごとくに見える、この私の正体がはなはだ怪しいものであります。
フロックも高襟も目に見える、手に触れると云うまでで自分でないにはきまっている。
この手、この足、痒いときには掻き、痛いときには撫でるこの身体が私かと云うと、そうも行かない。