両人は蒼くなって、あまり跳ね過ぎたなと勘づいたが、これより以後跳方を倹約しても金剛石が出る訳でもないので、やむをえず夫婦相談の結果、無理算段の借金をした上、巴里中かけ廻ってようやく、借用品と一対とも見違えられる首飾を手に入れて、時を違えず先方へ、何知らぬ顔で返却して、その場は無事に済ましました。
が借金はなかなか済みません。
借りたものは巴里だって返す習慣なのだから、いかな見え坊の細君もここに至って翻然節を折って、台所へ自身出張して、飯も焚いたり、水仕事もしたり、霜焼をこしらえたり、馬鈴薯を食ったりして、何年かの後ようやく負債だけは皆済したが、同時に下女から発達した奥様のように、妙な顔と、変な手と、卑しい服装の所有者となり果てました。