(それだから、文芸の極致は、時代によって推移するものと解釈するのが、もっとも論理的なのであります)文芸が極致に達したときに、これに接するものはもしこれに接し得るだけの機縁が熟していれば、還元的感化を受けます。
この還元的感化は文芸が吾人に与え得る至大至高の感化であります。
機縁が熟すと云う意味は、この極致文芸のうちにあらわれたる理想と、自己の理想とが契合する場合か、もしくはこれに引つけられたる自己の理想が、新しき点において、深き点において、もしくは広き点において、啓発を受くる刹那に大悟する場合を云うのであります。