そこで、私はその断崖のはしに立って、両手を真直ぐに頭の上に伸ばし「一、二、三」と思切りの声で怒鳴って置いて、ピョンと飛び上ると、見事な弧を描いて、さかしまに前の海面へと飛込みました。
パチャンと身体が水についた時に、胸と腹の呼吸でスイと水を切って、僅か二三尺潜る丈けで、飛魚の様に向うの水面へ身体を現すのが「飛込み」の骨なんですが、私は小さい時分から水泳が上手で、この「飛込み」なんかも朝飯前の仕事だったのです、そうして、岸から十四五間も離れた水面へ首を出した私は、立泳ぎという奴をやりながら、片手でブルッと顔の水をはらって、
「オーイ、飛込んで見ろ」