あとにも先にも、私が警察の取調を受けたのはたった二度きりですが、その一つがこの場合でした。
何分人の見ていない所で起った事件ですから、一応の取調べを受けるのは当然です。
併し、私とその友達とは親友の間柄でそれまでにいさかい一つした事もないと分っているのですし、又当時の事情としては、私も彼もその海底に岩のあることを知らず、幸い私は水泳が上手だった為に危い所をのがれたけれども、彼はそれが下手だったばっかりにこの不祥事を惹起したのだということが明白になったものですから、難なく疑は晴れ、私は却って警察の人達から「友達をなくされてお気の毒です」と悔みの言葉までかけて貰う有様でした。