それは銀色の丸いもので、丁度満月が密雲を破って現れる様に、赤い垂絹の間から、徐々に全き円形を作りながら現われているのであった。
私は最初の瞬間から、それが給仕女の両手に捧げられた、我々の飲物を運ぶ大きな銀盆であることを知っていた。
でも、不思議にも万象を夢幻化しないでは置かぬこの「赤い部屋」の空気は、その世の常の銀盆を、何かサロメ劇の古井戸の中から奴隷がヌッとつき出す所の、あの予言者の生首の載せられた銀盆の様にも幻想せしめるのであった。
それは銀色の丸いもので、丁度満月が密雲を破って現れる様に、赤い垂絹の間から、徐々に全き円形を作りながら現われているのであった。
私は最初の瞬間から、それが給仕女の両手に捧げられた、我々の飲物を運ぶ大きな銀盆であることを知っていた。
でも、不思議にも万象を夢幻化しないでは置かぬこの「赤い部屋」の空気は、その世の常の銀盆を、何かサロメ劇の古井戸の中から奴隷がヌッとつき出す所の、あの予言者の生首の載せられた銀盆の様にも幻想せしめるのであった。