足跡の印せられてあったのはその側であって、線路のも一つの側、即ち博士邸とは反対の側は、一面の水田で、遙に何かの工場の煙突が見えようという場末によくある景色だ。
東西に伸びた――町の西のはずれが、博士邸其他数軒の文化村式の住宅で終っているのだから、博士邸の並びには線路とほぼ並行して、ズッと人家が続いていると思い給え。
で、四ん這になった所の黒田刑事が、この博士邸と線路の間の空地に於て、何を嗅ぎ出したかというと、そこには十以上の足跡が入交っていて、それが轢死の地点に集中しているといった形で、一見しては何が何だか分らなかったに相違ないが、これを一々分類して調べ上げた結果、地下穿きの跡が幾種類、足駄の跡が幾種類、靴の跡が幾種類と、マア分ったんだ。