若しその紙片に捺してある日附印を見なかったら、何の疑も起らなかったのであろうが、博士の為には幸にも、その日附印が、私の眼に何かの啓示の様に焼付いたのである。
大正――年十月九日、即ち事件の直ぐ前の日の日附印が。
私は五六貫目は大丈夫あった所の、その石塊を取りのけて、雨の為に破れ相になっていた紙片を拾い上げた。
若しその紙片に捺してある日附印を見なかったら、何の疑も起らなかったのであろうが、博士の為には幸にも、その日附印が、私の眼に何かの啓示の様に焼付いたのである。
大正――年十月九日、即ち事件の直ぐ前の日の日附印が。
私は五六貫目は大丈夫あった所の、その石塊を取りのけて、雨の為に破れ相になっていた紙片を拾い上げた。