その内一つは、偶然私に恵まれた所のPL商会の受取切符であるから、これを除くとしても少くも二つの点に於て、粗漏があったことは確かである。
が右の受取切符とても若し黒田氏が非常に綿密な注意力を持って居ったならば、私の様に偶然ではなく発見することが出来たかも知れないのである。
というのは、その切符が下敷になっていた石というのは、博士邸の裏に半ば出来上った下水の溝の側に、沢山ころがっている石塊の一つであることが一見して分るのであるが、その石塊が唯一つ丈け遠く離れた線路の側に置かれてあったということは、黒田氏以上の注意力の所有者には、何かの意味を語ったかも知れないからである。