も一つ博士邸の訪問によって発見したことは、裏口から奥座敷の縁側に達する為には、内庭をとり囲んでいる所の板塀の木戸を通る外に通路はないのであって、その木戸というのが、洋室のドアなどにある様なバネ仕掛けで、内側へ丈け開く様に作られてあったことである。
博士夫人はこの二つの点を巧みに利用したのである。
犬というものを知っている人は、こういう場合に、唯だ口で追った計りでは立去るものでないが、何か用達しをいいつける――例えば、木切れを遠くへ投げて、拾って来させるという様な――時は、必ずそれに従うものだということを否まないであろう。