『それにしても、妙子の側まで行って、すぐにどっかへ居なくなった男というのは、一体何者だろう』と僕が云うと、越野は声を落して、真剣な目附で、『それについて思い当ることがある』と云うではないか。
……越野はあの時、僕の荷物を肩に担いで走りながら、ふと一人の男に擦れ違ったのだった。
が、ハッと思って振返ると、もうその男は、沢山の弥次馬の中へまぎれ込んで、姿が見えなかった相だ。
『それにしても、妙子の側まで行って、すぐにどっかへ居なくなった男というのは、一体何者だろう』と僕が云うと、越野は声を落して、真剣な目附で、『それについて思い当ることがある』と云うではないか。
……越野はあの時、僕の荷物を肩に担いで走りながら、ふと一人の男に擦れ違ったのだった。
が、ハッと思って振返ると、もうその男は、沢山の弥次馬の中へまぎれ込んで、姿が見えなかった相だ。