殊にこの蓋の表面のヴィーナスの浮彫りは、あの頃俺の室へ来た程の青年達が皆熟知している筈だ。
彼等が妙子の噂をし合う時には、いつもその本名を呼ぶ代りに、メダルの模様から思いついた『ヴィーナス』という渾名を使っていた程ではないか。
今若し、彼等の内の誰かが、妙子の手文庫の底深く秘めていた、このメダルの中に、自分の写真が貼付けてあったと知ったなら、どんなに狂喜することだろう。
殊にこの蓋の表面のヴィーナスの浮彫りは、あの頃俺の室へ来た程の青年達が皆熟知している筈だ。
彼等が妙子の噂をし合う時には、いつもその本名を呼ぶ代りに、メダルの模様から思いついた『ヴィーナス』という渾名を使っていた程ではないか。
今若し、彼等の内の誰かが、妙子の手文庫の底深く秘めていた、このメダルの中に、自分の写真が貼付けてあったと知ったなら、どんなに狂喜することだろう。