何だか黒い小さな物が(それは一目で持主のわかる、たとえば財布という様なものだったかも知れない)石の上に落ちていたのを、咄嗟の場合、先ず帯を落して隠しておいて、拾う時には帯の上から、その品物も一緒につかみとった様に思われるのだ。
それは、おれの方でも気が転倒している際だし、本当に一しゅん間の出来事だったから、ひょっとすると、おれの思い違いかも知れない。
しかし、ハンカチのことや、丁度その時分に階下へおりたことや、何よりも、この頃の兄貴のそぶりを考え合せると、もう疑わない訳には行かぬ。
何だか黒い小さな物が(それは一目で持主のわかる、たとえば財布という様なものだったかも知れない)石の上に落ちていたのを、咄嗟の場合、先ず帯を落して隠しておいて、拾う時には帯の上から、その品物も一緒につかみとった様に思われるのだ。
それは、おれの方でも気が転倒している際だし、本当に一しゅん間の出来事だったから、ひょっとすると、おれの思い違いかも知れない。
しかし、ハンカチのことや、丁度その時分に階下へおりたことや、何よりも、この頃の兄貴のそぶりを考え合せると、もう疑わない訳には行かぬ。