そして汽車が山北駅に着くと、下関まで乗り続ける筈の私は、人目につかぬ様に下車して、少し待合した上、上り列車の三等室へまぎれ込んで東京に引返したのです。
山北駅で汽車を待つ間に、私はそこの便所の中で、私の股にある、兄と私とを区別する唯一の目印であった所の黒子を、ナイフの先でえぐり取って了いました。
こうして置けば兄と私とは全く同じ人間なのです。
そして汽車が山北駅に着くと、下関まで乗り続ける筈の私は、人目につかぬ様に下車して、少し待合した上、上り列車の三等室へまぎれ込んで東京に引返したのです。
山北駅で汽車を待つ間に、私はそこの便所の中で、私の股にある、兄と私とを区別する唯一の目印であった所の黒子を、ナイフの先でえぐり取って了いました。
こうして置けば兄と私とは全く同じ人間なのです。