Y町には近郷でも有名な浄土宗の寺院があるのですが、ちょうど私の行った日には一年に一度の盛大なお説教が始まっていて、七日の間とか、その寺院の附近一帯はお祭騒ぎをやっているのです。
軽業だとか因果者師だとかのかけ小屋が幾つも建てられ、色々なたべ物や玩具の露店が軒を並べ、ドンチャンドンチャンと大変な騒ぎです。
用事を済ませた私は、別に急いで帰る必要もなかったものですから、時候は長閑な春のことではあり、陽気な音楽や人声につられてついその盛り場へ足を踏み入れ、あちらの見世物、こちらの物売りと、人だかりの背後からのぞいて廻っていたものです。