松野の語ったところによりますと、けっきょく、賊は、つぎのようなとっぴな手段によって、まんまと追っ手の目をくらまし、大ぜいの見ている中をやすやすと逃げさったことがわかりました。
人々に追いまわされている間に、賊は庭の池にとびこんで、水の中にもぐってしまったのです。
でも、ただもぐっていたのでは呼吸ができませんが、ちょうどそのへんに壮二君がおもちゃにして、すてておいた、節のない竹ぎれが落ちていたものですから、それを持って池の中へはいり、竹の筒を口にあて、いっぽうのはしを水面に出し、しずかに呼吸をして、追っ手の立ちさるのを待っていたのでした。