山梨県の片田舎に、今丁度売りに出ている妙な一軒家があるのです。
ある守銭奴のような老人が、盗難を恐れる余り、そんな妙な家を建てたのですが、全体が土蔵造りで、窓にも縁側にもすっかり鉄板張りの戸がついていて、その上に城郭のような高い土塀を囲らし、土塀の外にはちょっとした堀があって、跳橋まで懸っているという、まるで戦国時代の土豪の邸とでもいった用心深い建物なのです。
僕はそこの主人がなくなる前、ある事件で知合いになって、その城のような邸に泊ったこともあるのですが、場所といい、建物といい、あなたの一時の隠れ場所には持って来いなのです。