川手氏が城郭の不思議な掛人となってから、四五日は何事もなく経過した。
陽春の山住いは憂いの身にも快かった。
土蔵造りの白壁も明るく、それを取りまく雑木林の枝々には、黄ばんだ若芽のふくらみも暖かく、吊橋の下の小川は軽やかにせせらぎ、樹間に呼び交う鳥の声も、浮世離れてのどかであった。
川手氏が城郭の不思議な掛人となってから、四五日は何事もなく経過した。
陽春の山住いは憂いの身にも快かった。
土蔵造りの白壁も明るく、それを取りまく雑木林の枝々には、黄ばんだ若芽のふくらみも暖かく、吊橋の下の小川は軽やかにせせらぎ、樹間に呼び交う鳥の声も、浮世離れてのどかであった。