そこには一むらの南天が黒く押黙っているばかりで、人らしい物の影はなかった。
しかし、人の姿は見えなかったけれど、それよりももっと妙なものが、忽ち川手氏の注意を惹いた。
というのは、その廊下の斜向うに、鈎の手になった建物の大きな白壁が、夜目にも薄白く、目を圧するように浮上っているのだが、その白壁の表面にボーッと白く燐のような光がさしていたのである。
そこには一むらの南天が黒く押黙っているばかりで、人らしい物の影はなかった。
しかし、人の姿は見えなかったけれど、それよりももっと妙なものが、忽ち川手氏の注意を惹いた。
というのは、その廊下の斜向うに、鈎の手になった建物の大きな白壁が、夜目にも薄白く、目を圧するように浮上っているのだが、その白壁の表面にボーッと白く燐のような光がさしていたのである。