血染めのハンカチ、切断された生指、美貌の生華師匠、その不思議な失踪、分けても十箇の罐詰と十斤の食パンの謎は、二人以上の人の集るところ、必ず好奇の話題となって、さも気味悪げに囁き交されるのであった。
北園竜子の写真を手に入れる事、彼女の戸籍簿を調べる事、三島駅前の運送店に張り込みをする事という、中村捜査係長の三つの捜査方針は、戸籍簿を除いては全く失敗に終った。
刑事を八方に走らせ、竜子の知人という知人を訪ねて、写真を探し求めたけれど、流石に殺人鬼は用心深く、どの知人の手元にも一葉の古写真さえ保存されていなかった。