それから、二人が葡萄酒とサンドイッチを詰めた小鞄をさげて、自動車に乗り込み、青山高樹町の問題の空家の一町ほど手前で下車したのは、もう九時半頃であった。
前にも記した通り、その辺は物淋しい屋敷町なので、さして夜も更けていないのに、殆んど人通りもなく、まばらな街燈の光も薄暗く、商店街に比べてはまるで別世界のように、ひっそりと静まり返っていた。
「僕らは無断であの空家へ忍び込むのだからね。
それから、二人が葡萄酒とサンドイッチを詰めた小鞄をさげて、自動車に乗り込み、青山高樹町の問題の空家の一町ほど手前で下車したのは、もう九時半頃であった。
前にも記した通り、その辺は物淋しい屋敷町なので、さして夜も更けていないのに、殆んど人通りもなく、まばらな街燈の光も薄暗く、商店街に比べてはまるで別世界のように、ひっそりと静まり返っていた。
「僕らは無断であの空家へ忍び込むのだからね。