江戸川乱歩 『悪魔の紋章』 もう十一時に近い時刻、淋しい屋敷町には、全く人通りも途絶えている。 遠くを走る電車の響きの外は、何の物音も聞えない。 その死に絶えたような静寂の中で、黒い怪物は、屋根の上を、四ん這いになって、ソロソロと庇の端の方へ乗り出して来る。 江戸川乱歩の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア