博士は相手に悟られぬよう、足音を忍ばせながら、社殿の裏に近づき、床下の闇の中に、幽に蠢く人影をつきとめると、突然、パッと懐中電燈を点火して、相手の顔にさしつけた。
背をかがめて歩ける程の高い床下、柱と柱の間に身を縮めて蹲まっている怪物、その胸から上の半身像が、電燈の丸い光の中に、クッキリと浮き上った。
黒ソフトをまぶかく冠り、大きな眼鏡で顔を隠しているけれど、その眼鏡の中から、恐怖の為めに一杯に見開かれた両眼が、追いつめられたけだもののように、こちらを見つめ、青ざめた頬、激動の為めに白っぽく色を失った唇が、半ば開いたままになって、ゾッとするような烈しい息遣いをしている。