彼女は云いながら、丸い光の中へソッと左手をさし出した。
手首全体に繃帯が巻いてあるので、切口は見えぬけれど、人差指のあるべき場所が異様にくぼんで、歯の抜けたような感じを与えている。
「わたしは、三重渦巻の指紋を持った殺人鬼の話は聞いておりましたけれど、つい十日余り前まで、迂濶にも、わたしの人差指の妙な指紋が、その恐ろしい三重渦状紋とやらだとは、まるで、気もつかないでいました。
彼女は云いながら、丸い光の中へソッと左手をさし出した。
手首全体に繃帯が巻いてあるので、切口は見えぬけれど、人差指のあるべき場所が異様にくぼんで、歯の抜けたような感じを与えている。
「わたしは、三重渦巻の指紋を持った殺人鬼の話は聞いておりましたけれど、つい十日余り前まで、迂濶にも、わたしの人差指の妙な指紋が、その恐ろしい三重渦状紋とやらだとは、まるで、気もつかないでいました。