ある若い娘さんは、銀座のショウウインドウの前で、その男を見たと云った。
真鍮の手すりにもたれて、一人の背の高い男が、ガラス窓の中を覗き込んでいたが、ソフト帽のひさしを鼻の頭まで下げ、オーヴァコートの襟を耳の上まで立てて、顔をすっかり包んでいる様子が、何となく変だったので、娘さんは窓の中の陳列品に気をとられている様な風をして、首を延ばして、不意にヒョイと男の顔を覗いてやったという。
すると、帽子のひさしと、外套の襟との僅か一寸ばかりの隙間から、目を射る様にギラギラと光ったものがある。
ある若い娘さんは、銀座のショウウインドウの前で、その男を見たと云った。
真鍮の手すりにもたれて、一人の背の高い男が、ガラス窓の中を覗き込んでいたが、ソフト帽のひさしを鼻の頭まで下げ、オーヴァコートの襟を耳の上まで立てて、顔をすっかり包んでいる様子が、何となく変だったので、娘さんは窓の中の陳列品に気をとられている様な風をして、首を延ばして、不意にヒョイと男の顔を覗いてやったという。
すると、帽子のひさしと、外套の襟との僅か一寸ばかりの隙間から、目を射る様にギラギラと光ったものがある。