せめて、探照燈係りに化けた賊の顔を見覚えているものはないかと探したが、塔上の小暗い部屋ではあったし、あとで考えて見れば、怪物は制帽をまぶかにして、胡散らしくうつむき勝ちにしていたから、それに、まさかそいつが賊だとは誰一人疑っても見なかったので、殊更ら注意して顔を眺めた者もなく、ただ非常に背の高い発音の曖昧な男という外には、何の記憶も残っていなかった。
「道理で変でしたよ。
僕が建築事務所へ行った時に、まだ誰も知らせに来たものはないといって、皆、変な顔をしていました」
せめて、探照燈係りに化けた賊の顔を見覚えているものはないかと探したが、塔上の小暗い部屋ではあったし、あとで考えて見れば、怪物は制帽をまぶかにして、胡散らしくうつむき勝ちにしていたから、それに、まさかそいつが賊だとは誰一人疑っても見なかったので、殊更ら注意して顔を眺めた者もなく、ただ非常に背の高い発音の曖昧な男という外には、何の記憶も残っていなかった。
「道理で変でしたよ。
僕が建築事務所へ行った時に、まだ誰も知らせに来たものはないといって、皆、変な顔をしていました」