いくら駈け廻っても無駄なことを悟ると、今度は、物におびえた獣の様に、彼女は部屋中で一番暗い隅っこへ、そこにニョッキリ立ちはだかっている、小桜縅の鎧武者のうしろに身を潜め、息を殺して、屋外の物音に耳をすました。
鎧武者といっても、生人形ではない。
鎧櫃の上に、ドッカと腰かけた形に飾ってある、中味はがらんどうの陳列品だ。
いくら駈け廻っても無駄なことを悟ると、今度は、物におびえた獣の様に、彼女は部屋中で一番暗い隅っこへ、そこにニョッキリ立ちはだかっている、小桜縅の鎧武者のうしろに身を潜め、息を殺して、屋外の物音に耳をすました。
鎧武者といっても、生人形ではない。
鎧櫃の上に、ドッカと腰かけた形に飾ってある、中味はがらんどうの陳列品だ。