で、最後の手段として、執事の尾形老人が、尾行を命ぜられた。
初めの晩は、不二子さんの行動が実に千変万化を極め、自動車を飛び下りたかと思うと、複雑な露地をグルグル廻って、飛んでもない場所から、又自動車に乗り換えるといった調子で、とうとう中途で見失ってしまったが、次の晩(と云うのは昨夜のことだが)は、今度こそと意気込んだ甲斐あって、おしまいまで尾行を続けることが出来た。
結局行きついた所は、郊外戸山ヶ原のはずれの実に淋しい場所に、ポツンと建っている古い洋館で、場所といい建物といい、何となく不気味な感じがする上に、自動車を見ていると、いつの間に乗っていたのか、不二子さんが降りたあとから、もう一人の人物が、ヒョイと飛降りて、素早く洋館の中へ姿を消してしまったが、ヘッドライトの反射の薄あかりで、チラと見えたのは、確かに金色の顔、金色の衣裳、噂に聞く黄金仮面に相違なかった。