ただ、テイルの番号標の白い数字に、泥がかかって、半分程全く見えなくなっていたけれど、ゴー・ストップのお巡りさんも、まさかそれが、番号を隠す為に故意に泥を塗ったものとは気づかず、何気なく見送ってしまった程だ。
外見はその様に何のこともなかったが、若し人あって、箱の中の客席を覗き込んだなら、余りのことに、アッと驚きの叫声を立てないではいられなかったであろう。
規定に従って、車内の豆電燈はついていたし、窓にはブラインドもおろさず、客席は見通しになっていたが、その代りに、まるで引越し荷物の様な、大風呂敷包みが、三つも四つもつめ込まれ、客の姿はその蔭に隠れて、殆ど見えないのだ。