わし達の行ったのは、桜の季節も過ぎた晩春の頃であったから、遊山客の影もなく、非常に淋しかったが、静かな谿谷の気分を味わうには、却て好都合であった。
両側の山にはさまれた、広い帯の様な空は、一点の雲もなく、底知れぬ青さに晴渡っていた。
山道にはうらうらと陽炎がゆらぎ、若葉の薫りはむせ返る様。
わし達の行ったのは、桜の季節も過ぎた晩春の頃であったから、遊山客の影もなく、非常に淋しかったが、静かな谿谷の気分を味わうには、却て好都合であった。
両側の山にはさまれた、広い帯の様な空は、一点の雲もなく、底知れぬ青さに晴渡っていた。
山道にはうらうらと陽炎がゆらぎ、若葉の薫りはむせ返る様。