彼はクッションを取りはずし、難儀をして、芙蓉の死骸を、その下の空ろな箱の中へおさめ、元通りクッションをはめて、その上にぐったり腰をおろすと、気をしずめる為に、暫くの間、じっとしていた。
外には、相変らず、かっぽれの楽隊が、勇ましく鳴り響いていたが、それが実は、彼をだます為に、態と何気なく続けられているので、安心をして、シェードをあげると、窓ガラスの外に、無数の顔が折り重なって、千の目で、彼を覗き込んでいるのではないかと思われ、迂濶にシェードを上げられない様な気がした。
彼は一分位の幕の隙間から、おずおずと外を覗いて見た。