サア、ここにおあしがある」
そういって、彼が十円札を二枚つき出すと、婆やは、彼の下戸を知っているので、「マア、お酒でございますか」と妙な顔をした。
柾木は機嫌よくニコニコして「ナニ、一寸ね、今晩は嬉しいことがあるんだよ」と弁解したが、これは、婆やが雷門まで往復する間に、芙蓉の死骸を、土蔵の二階へ運ぶ為でもあったけれど、同時に又、この不可思議な結婚式の心祝いに、少々お酒がほしかったのでもあった。
サア、ここにおあしがある」
そういって、彼が十円札を二枚つき出すと、婆やは、彼の下戸を知っているので、「マア、お酒でございますか」と妙な顔をした。
柾木は機嫌よくニコニコして「ナニ、一寸ね、今晩は嬉しいことがあるんだよ」と弁解したが、これは、婆やが雷門まで往復する間に、芙蓉の死骸を、土蔵の二階へ運ぶ為でもあったけれど、同時に又、この不可思議な結婚式の心祝いに、少々お酒がほしかったのでもあった。