この上は、あかずの土蔵へ闖入して、芙蓉の死骸そのものを目撃しない以上、誰一人彼を疑い得る者はない筈であった。
間もなく半ば狂せる柾木と、木下芙蓉の死体とが、土蔵の二階でさし向いであった。
燭台のたった一本の蝋燭が、赤茶けた光で、そこに恥もなく横わった、花嫁御の冷い裸身を照らし出し、それが、部屋の一方に飾ってある、等身大の木彫りの菩薩像や、青ざめたお能の面と、一種異様の、陰惨な、甘酸っぱい対照を為していた。
この上は、あかずの土蔵へ闖入して、芙蓉の死骸そのものを目撃しない以上、誰一人彼を疑い得る者はない筈であった。
間もなく半ば狂せる柾木と、木下芙蓉の死体とが、土蔵の二階でさし向いであった。
燭台のたった一本の蝋燭が、赤茶けた光で、そこに恥もなく横わった、花嫁御の冷い裸身を照らし出し、それが、部屋の一方に飾ってある、等身大の木彫りの菩薩像や、青ざめたお能の面と、一種異様の、陰惨な、甘酸っぱい対照を為していた。