云うまでもなく、それは柾木愛造の六七才の頃の姿であったが、その折の内気な青白い少年が、大きくなって、積木の垣の代りに、土蔵の中にとじ籠り、お人形の代りに芙蓉のむくろと話をしているのだ。
何という不思議な相似であろう。
柾木はそれを思うと、急に目の前の死骸がゾッと総毛立つ程恋しくなって、それが遠い昔のお人形でもある様に、芙蓉の上半身を抱上げて、その冷たい頬に彼の頬を押しつけるのであったが、そうしてじっとしていると、まぶたが熱くなって、目の前がふくれ上って、ポタポタと涙が流れ落ち、それが熱い頬と冷い頬の合せ目を、顎の方へツーツーと辷って行くのが感じられた。