「チェッ、俺はさっきから、なぜそこへ気がつかなかったろう」彼は腹立たしげに呟いて、併し晴々した表情になって、車の方向を変えた。
行先は本郷の大学病院わきの、ある医療器械店であった。
白く塗った鉄製の棚だとか、チカチカ光る銀色の器械だとか、皮を剥いた赤や青の毒々しい人体模型だとか、薄気味悪い品物で埋まっている、広い店の前で、彼は暫く躊躇していたが、やがて影法師みたいにフラフラとそこへ這入って行くと、一人の若い店員を捉えて、何の前置きもなく、いきなりこんなことを云った。
「チェッ、俺はさっきから、なぜそこへ気がつかなかったろう」彼は腹立たしげに呟いて、併し晴々した表情になって、車の方向を変えた。
行先は本郷の大学病院わきの、ある医療器械店であった。
白く塗った鉄製の棚だとか、チカチカ光る銀色の器械だとか、皮を剥いた赤や青の毒々しい人体模型だとか、薄気味悪い品物で埋まっている、広い店の前で、彼は暫く躊躇していたが、やがて影法師みたいにフラフラとそこへ這入って行くと、一人の若い店員を捉えて、何の前置きもなく、いきなりこんなことを云った。