翌日柾木が目を覚ましたのは、もうお昼過ぎであった。
睡りながらも、彼の心は「こうしてはいられない。
こうしてはいられない」という気持で、一晩中、闘争し苦悶し続けていたのだが、さて目が覚めると、却ってボンヤリしてしまって、昨日までのことが、凡て悪夢に過ぎなかった様にも思え、現に彼の目の前に横わっている芙蓉の死骸を見ても、部屋中にみなぎっている、薬品の匂や、甘酸っぱい死臭にむせ返っても、それも夢の続きで、まだ本当に起きているのではないという様な感じがしていた。
翌日柾木が目を覚ましたのは、もうお昼過ぎであった。
睡りながらも、彼の心は「こうしてはいられない。
こうしてはいられない」という気持で、一晩中、闘争し苦悶し続けていたのだが、さて目が覚めると、却ってボンヤリしてしまって、昨日までのことが、凡て悪夢に過ぎなかった様にも思え、現に彼の目の前に横わっている芙蓉の死骸を見ても、部屋中にみなぎっている、薬品の匂や、甘酸っぱい死臭にむせ返っても、それも夢の続きで、まだ本当に起きているのではないという様な感じがしていた。