生地の芙蓉も美しかったけれど、全身に毒々しく化粧をした芙蓉は、一層生前のその人にふさわしくて、云い難き魅力を備えていた。
蝕まれて、最早や取返す術もなく思われた、芙蓉のむくろに、この様な生気が残っていたことは、しかもそれが生前の姿にもまして悩ましき魅力を持っていたことは、柾木にとって寧ろ驚異であった。
それから三日ばかりの間、死体に大きな変化もなかったので、柾木は、日に三度食事に降りて来る外は、全く土蔵にとじ籠って、せっぱつまった最後の恋に、明日なき恋人のむくろとさし向いで、気違の様に、泣きわめき、笑い狂った。