その一人は直ぐ主人公の柾木愛造と判明したけれど、もう一人の方が、行衛不明を伝えられた、人気女優木下芙蓉の、なれの果てであることを確めるには、長い時間を要した。
何故と云って、彼女の死体は殆ど腐敗していた上に、腹部が無残に傷けられ、腐りただれた内臓が醜く露出していた程であったから。
柾木愛造は(芙蓉の死毒によって命を奪われたとの判定であった)露出した芙蓉の腹わたの中へ、うっぷしに顔を突込んで死んでいたが、恐ろしいことには、彼の醜く歪んだ、断末魔の指先が、恋人の脇腹の腐肉に、執念深く喰い入っていた。