ですが、種を割ってみれば、これがやっぱり、先ほどお話しした魔法の紙幣と同じことで、ただたくさん凹面鏡を使って、像を拡大したものにすぎないのでした。
でも、理窟の上ではできるものとわかっていても、ずいぶん費用と時間のかかることでもあり、そんなにばかばかしいまねをやってみた人もありませんので、いわば彼の発明といってもよく、つづけざまにそのようなものを見せられると、なにかこう、彼が恐ろしい魔物のようにさえ思われてくるのでありました。
そんなことがあってから、二、三カ月もたった時分でしたが、彼は今度は何を思ったのか、実験室を小さく区ぎって、上下左右を鏡の一枚板で張りつめた、俗にいう鏡の部屋を作りました。